73回 午後 診療画像検査学

73回
15 MRI で撮影時間が 1/2 になるのはどれか。

1.加算回数を2倍にする。
2.SENSE factor を2倍にする。 
3.位相エンコード数を2倍にする。 
4.周波数エンコード数を 1/2 にする。
5.高速スピンエコー法のエコートレイン数を 1/2 にする。

2

MRIの撮像時間は、次式で表されます。

撮像時間 = TR × Ny × NEX ÷ ETL (÷ リダクションファクター)

TR:繰り返し時間、Ny:位相エンコードステップ数、NEX:加算回数、ETL:エコートレイン数、リダクションファクターはパラレルイメージングを使用した時

SENSE factorがリダクションファクターになりますので、撮像時間を短縮するパラメータになります。

16 上腹部 MRI における細胞外液性ガドリニウム造影剤を使用した T1 強調ダイナミック撮影について正しいのはどれか。

1.腎癌の診断に有用ではない。 
2.膵癌の診断に有用ではない。 
3.動脈相では、脾臓の造影効果は肝臓のそれよりも低い。 
4.動脈相の撮影は、造影剤投与開始後5分程度で開始する。 
5.動脈相では、腎皮質の造影効果は腎髄質のそれよりも高い。

5

腎臓の血流は、以下の通りです。

腎動脈→腎皮質の糸球体(輸入・輸出細動脈)→腎皮質・腎髄質の尿細管周囲毛細血管→腎静脈

よって動脈相ではまず腎皮質の糸球体を経由することから、髄質よりも皮質が造影効果は高くなると思います。造影CTではこのフェーズを皮髄相と言います。

17 MRCP の適応とならない疾患はどれか。

1.膵 癌
2.肝血管腫
3.総胆管癌
4.胆囊結石
5.慢性膵炎

2

MRCPは基本的には、胆嚢・胆道や膵臓・膵管を観察したい時に撮像されると思います。

18 超音波が屈折することにより発生するアーチファクトはどれか。2つ選べ。

1.音響陰影
2.外側陰影
3.鏡面反射
4.レンズ効果
5.サイドローブ

2,4

屈折によるアーチファクトは、音響インピーダンスの異なる組織に、超音波が斜めに入射したときに発生します。外側陰影とレンズ効果があります。

19 腎性全身性線維症<NSF>の危険因子と考えられるのはどれか。

1.血液脳関門の破綻
2.著しい eGFR 値の低下 
3.超常磁性酸化鉄製剤の使用 
4.イオン性ヨード造影剤の使用 
5.ガドリニウム造影剤に対するアレルギー歴

2

NSFの危険因子は、腎機能の低下です。よってeGFRの低下になります。

20 脳の一方向にのみ motion probing gradient[b = 1000 s・mm^-2]が印加された拡散強調像(別冊No. 1)を別に示す。矢印の解剖名称で正しいのはどれか。

1.視 床
2.脳 回
3.脳 溝
4.脳脊髄液
5.脳 梁

5

矢印部位は、脳梁になります。

21 MRI における SAR で正しいのはどれか。

1.静磁場強度が大きいほど低下する。 
2.フリップ角が小さいほど上昇する。 
3.電気伝導率が高い組織ほど低下する。 
4.被検者の体格が大きいほど低下する。 
5.デューティサイクルが高いほど上昇する。

5

人体は構造や組成が複雑であるため、SARを正確に求めることは困難だそうです。よって内部が均一な球体で単純化して考えるのが一般的です。よく用いられるのが、平均SAR(以降SARav)であり、体温上昇の指標となります。

SARav ∝ σD(B0θR)2 / ρ

この式より、以下のことが言えると思います。

  • σ:球体の電気伝導度、ρ:球体密度 → 人体の組成であり、コントロール不可
  • R:半径、B0 :静磁場強度、θ:フリップ角 → 2乗となるため、影響大
  • D:duty cycle 単位時間当たりの出力時間の割合。SARには、次のようなパラメータが関係します。
    • 比例:スライス数、RFパルス時間
    • 反比例 TR:繰り返し時間
22 腹部 MR 像(別冊No. 2)を別に示す。 矢印の部分に存在するアーチファクトで正しいのはどれか。

1.位相エンコード方向に出現する。 
2.静磁場強度が高いほど顕著になる。 
3.水と脂肪の位相差が原因で生じる。 
4.トランケーションアーチファクトである。 
5.受信バンド幅を狭くすることで低減できる。

2

ケミカルシフトです。

23 超音波検査において低い周波数から高い周波数のプローブに変えた場合に起こるのはどれか。

1.音速が低下する。 
2.減衰が小さくなる。 
3.距離分解能が高くなる。 
4.組織の境界面での反射が強くなる。 
5.超音波ビームの指向性が低下する。

3

超音波の(プローブ)周波数が大きいほど伝搬速度は速くなります。また周波数が高くなるにつれ減衰は増加します。

超音波の周波数が高いほど距離分解能と指向性は向上します。

この解説は、自信がなく推測を含みます。すみません。組織の境界面での反射は、2つの音響インピーダンスが関与してくると思います。この音響インピーダンスは、媒質の密度と伝搬速度の積で表されます。高周波になると伝搬速度が高くなりますが、2つとも高くなるので相対的には変化しないということだと思います。(2つの組織で両者とも伝搬速度が速くなるので、比べたら変わらない)。

24 手部 MRI の T1 強調冠状断像(別冊No. 3)を別に示す。 矢印で示すのはどれか。

1.月状骨
2.舟状骨
3.有鉤骨
4.有頭骨
5.小菱形骨

4

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