膝蓋下脂肪体を知りませんでした。

現場で役立つかも

はじめに

私はこれまで診療放射線技師として、救急病院で10年間勤務した後、現在はスポーツ整形外科クリニックで3年目を迎えようとしています。救急病院とクリニック、それぞれ異なる医療現場で働いた経験から、日々見える世界や求められる役割の違いを肌で感じ、多くの気づきと学びを得ることができました。

現在勤務しているスポーツ整形外科クリニックでは、画像上で明らかな異常が見られない患者さんの割合が高いです。もちろん外傷のある症例もありますが、むしろ「痛みはあるのに画像には異常が映らない」というケースのほうが多く、診療放射線技師としての視点にも変化が求められています。

そのようなケースでは、以下のような要因が背景にあると考えられます。

  • 姿勢や可動域の問題によって、特定の関節や筋肉に過度な負荷がかかっている
  • 加齢や運動不足などによる組織の萎縮、血流低下により機能が低下している
  • 筋膜、腱、靭帯などの軟部組織そのものが痛みの原因になっている

実際に、クリニックで診ることの多い代表的な疾患には、四十肩・五十肩、テニス肘、ゴルフ肘、非特異的腰痛、坐骨神経痛、鵞足炎、腸脛靭帯炎などがあります。これらは、画像だけでは診断が難しいケースが多く、身体の使い方や生活習慣、筋・骨格系の機能的な問題が関係していることも少なくありません。

中でも、私が非常に印象深く感じたのは「膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)」という構造です。理学療法士の方とお話しすることで勉強になりました。

以下、chatGPTの力を借りてます。

🦵 膝蓋下脂肪体の解剖学的構造と機能

膝蓋下脂肪体(Infrapatellar Fat Pad)は、膝蓋骨の下方、膝蓋靱帯の深層に位置する脂肪組織で、滑膜に被覆されています。この脂肪体は、膝関節の屈曲時には後方へ、伸展時には前方へ移動し、関節運動に伴う骨間の摩擦を減少させ、関節の潤滑性を高める役割を果たしています。

また、膝蓋下脂肪体は膝関節の衝撃吸収、関節液の分泌促進、血流ポンプ作用など、多岐にわたる機能を担っています。特に、膝蓋大腿関節の滑走性を維持し、関節の安定性と可動性を支える重要な組織です。

膝蓋下脂肪体は、神経終末や毛細血管が豊富に分布しており、膝関節構成体の中でも特に痛みを感じやすい組織とされています 。

このため繰り返される機械的ストレスによって炎症が生じると、線維化や肥大が進行し、柔軟性が低下します。その結果、膝関節の動きが阻害され、動作時痛や関節可動域制限の原因となることがあります 。

特に、膝関節伸展時に膝蓋下脂肪体が大腿骨顆部に挟まれることで生じる圧縮痛(Hoffa sign)は、膝前部痛の鑑別診断において重要な所見です。また、膝蓋腱部の圧痛が伸展位で再現され、屈曲位では再現されない場合、膝蓋下脂肪体由来の痛みと推察されます。

まとめ

膝蓋下脂肪体は、膝関節の機能維持において重要な役割を果たす組織であり、その評価は、膝前部痛の管理において不可欠です。

救急病院で膝のMRIを多く検査しました。しかし骨、半月板や靭帯などばかりに目が行き、この部位に注目したことはほとんどありませんでした。

画像上で明確な異常が認められない場合でも、膝蓋下脂肪体の状態を考慮することは大切だと思います。また構造だけでなく、MRI画像で硬さ柔らかいなどを視覚的に表現出来る技術があれば、より的確な診断に寄与できるでしょう。

この経験を通じて、画像読影の「視点」や「意識の向け方」が、環境や対象となる患者層によっていかに左右されるかを実感しました。

医療現場を変えることで、自分の中の“当たり前”が一度リセットされ、新たな気づきとともに診療放射線技師としての視野が大きく広がる——そう強く感じています。

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