肋骨撮影は、立位呼気が良い?

現場で役立つかも

肋骨の撮影といえば、正面と斜位のルーチン撮影を行う施設が多いと思います。

教科書で紹介されている撮影法も、たしか臥位だったと記憶しています。私が以前勤務していた病院でも、基本的には臥位で撮影していました。

そして呼吸は、吸気or呼気のどちらで撮影しているのでしょうか?

私は救急病院で10年勤務した後に、スポーツ整形外科に転職をしました。クリニックでも当初は臥位で撮影していましたが、試行錯誤の末、「立位・呼気」での撮影に落ち着きました。

今回はその理由と経緯を、以下にご紹介します。

立位撮影のメリット

1. 時間短縮

ベッドに移る必要がないため、撮影までの動作がスムーズです。

2. 疼痛のある患者さんにやさしい

転倒などによって強い痛みがある患者さんは、寝たり起きたりする動作が困難なことがあります。
立位で撮影することで、負担を大幅に軽減できます。

3. 気胸や血胸を観察出来るかも?

肋骨撮影で、気胸であったパターンが2つありました。

1つ目は、外傷の肋骨骨折による気胸。この時は血胸も観察出来ました。

2つ目は、小学生が明らかな誘因もなく胸痛や背部痛を訴えたケースです。その際、肺尖部に気胸を観察出来ました。臥位の撮影では、見逃していた可能性が大きいです。

呼気撮影のメリット

1. 下部肋骨のコントラストが良くなる

救急病院に勤務していた頃、呼気撮影にすることで下部肋骨の画像コントラストが良くなると教わりました。下部肋骨を肺野でなく、腹部に重ねる事で観察出来るように呼気撮影していました。

2. 気胸を検出しやすい

自然気胸の場合、胸腔内の空気をうまく吐き出せないことがあり、吸気時よりも呼気時に特徴的な画像所見が現れやすくなります。

このことから、呼気での撮影は気胸の発見に有利だと感じています。

3. 骨折のズレが分かりやすい

呼吸時の胸郭の動きには、横隔膜や肋間筋などが関与しています。

肋骨骨折の場合、吸気時は胸郭全体が拡張し、連続性が失われていても一見つながって見えます。

一方、呼気時には連続性が途絶えている部分だけが収縮できず、ズレが顕著に現れるケースが多いと感じています。

まとめ

これらの理由から、肋骨撮影は立位呼気撮影がベストと考えます。

小さな肋骨骨折は、初回の一般撮影では分からない事も多いです。しかし気胸を見逃してしまう事は良くありません。

CTをすぐ撮れる環境ではありません。一般撮影だけでは限界がある事も分かっています。

それでもせめて緊急度の高い所見を見逃さないようにしたいです。

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